2019/11/23 土曜日 [あとがき] 2020/10/14 水曜日
半年以上東京で電車に乗っているが、山手線で東京駅に行き、22番乗り場に行って北陸新幹線に乗るのは初めてだった
ホームに行くと、本数が少ないからか週末だからか、常軌を逸した黒山の人だかりで、10分前には新幹線が到着していた
あまり深く考えずに自由席券を買ってしまったので、この行列で1番座れそうなところを嗅ぎ分け、一瞬で一度きりの勝負に勝てなければ3時間の地獄が待っていると思うと、雨に濡れた足が興奮と緊張で震えてきた
姿勢を低くし、稲穂のように吸い込まれていく空気をかき分けて窓側の席を確保すると、急いで車内から出て売店でトッポとコカコーラを買い、ギリギリ車内に戻った
始発駅の段階で既に満席になっている列車はゆっくりと走り出し、自分の後ろに座った3歳児くらいの少女は何故か自分の背もたれを後ろから蹴っていた
3回ほど蹴って、上から自分の頭頂部を覗き込み、また4回ほど蹴っては上からこちらを見て、この世界の教科書のような笑顔ではにかんでは澄ましてみせていた
この子にとって前の座席に乗り上げることが午前0時と正午を表しているなら、この動作は朝三暮四そのものだなと思いながら、テザリングなしではネット回線の繋がらないiPhone7にワイヤレスイヤホンを接続し、ポルカドットスティングレイの有頂天というアルバムを1曲目から聴き始めた
自分はこのバンドを誰かに紹介するとき、全知全能のアルバムさえ聴いておけば大丈夫と言って勧めていたが、ICHIDAIJIから始まるこのアルバムが今年の2月に発売されたとき、このバンドの音楽性が詰まったアルバムだと感じた
そういえば5月にあった入部式の時も、隣の部屋からどこかのサークルがテレキャスター・ストライプを演奏しているのが聞こえていたのを思い出した
駒場祭でもどこかの団体がやるらしいというのは噂に聞いている
特にテレキャスター・ストライプは歌詞を見なければ本当に何を言っているのかわからないような椎名林檎風の歌い方で、やたらと込み入っていて長めの間奏を入れるという点でゲスの極み乙女。などを彷彿させるようなバンドではあったが、この有頂天というアルバムに入っている曲は比較的歌詞を見なくても聞き取れるような曲が多かったような印象を受けた
相変わらず間奏の部分は多いが、耳に残るギターリフが特徴的で、ICHIDAIJIでの「空前絶後のmovement」や、続くDENKOUSEKKAでもジャスティスという掛け声が入ることを考慮すると、サンシャイン池崎をモチーフにハマっているのか?と考えていた
よくポルカドットスティングレイは音楽性に一貫性がないとか、売れ線のメロディしか使わないというような意見をネット上などで見かけるが、どちらかとヤバイTシャツ屋さん的な立ち位置だと個人的には思っている
「かわE越してかわFやんけ」というフレーズに衝撃を受けたのと同じように、「箱入り娘の大脳を開いてみたら宇宙」というフレーズをサビに持ってくる度胸に感心した
そうこうしていると金沢駅に辿り着き、改札を抜けて彼女と現地集合をし、噴水の文字が迎え入れてくれた
Instagram post by 時をかける表象 • Nov 28, 2019 at 5:28am UTC
早速店が閉まらないうちに、金沢に行ったら絶対食べておくべきと言われる「のどぐろ」と海鮮丼を食べに行った
正直、「のどぐろ」が何か知らなかったが、とりあえず喉が黒い高級魚で金沢では例外的に1年中食べられるらしい
実際駅を降りて近江町に行くとのどぐろを全面に押し出した店が多く存在し、その中でもインスタでよく見かける「のどぐろのひつまぶし」を求めて「鮮彩えにし」という店に入った
この店には、最初は刺身で、のような料理の食べ方ガイドみたいなものがあり、経験上この店は当たりだなと思った
初めて食べる「のどぐろ」はただひたすらに美味しく、白身魚の割に結構しっかり脂がのっていた
刺身で食べることを推奨していたが、個人的には茶漬け風にして食べるのが1番美味しかった
店内を見渡しても多くのサインがあり、ロッチとバナナマン来てるじゃん、とか思いながらPayPayで支払いをし、店を出てホテルに向かった
今日泊まる雨庵というホテルは全体的に雨をモチーフにしているホテルだった
電気の形も雨をイメージしていて、一応のコモンスペースやジム、ドリンクバーなどもあるような、とにかく綺麗でオシャレなホテルだった
お風呂は浴槽のお湯が肩や腰に当てられるスパージュのようなお風呂で、旅先での疲れを癒すことができた
部屋も坪庭付きで趣深いものだったし、加えてお蕎麦も無料で食べることができ、おもてなしの精神を実感した
テレビをつけると何故か今ごろ探偵ナイトスクープの西田局長最後の回が放送されており、調べれば2週間遅れで放送しているらしかった
駒場祭の準備でいつになく早起きをし、雨と新幹線での移動が体力を摩耗させたこともあって今日は気付けば寝てしまっていた
もう少しこのホテルを満喫したい気持ちもあったが、明日は限定10食しかなかったり、材料が売り切れ次第終了したりする店に行くために早起きしなければならないので好都合だった
[あとがき] 2020/10/14 水曜日
ほぼ1年前に行った金沢旅行について今日から書いていきたいと思います。この日は駒場キャンパスで行われる駒場祭という大学祭の日であり、私は陸上部でのシフトを終えて新幹線に乗りました。駒場祭については前日の記事で書いているので省略します。近いうちに後日談もあとがきに書きたいと思います。あとこの日に行った「鮮彩えにし」は金沢旅行最終日にも行っているので、この店については最終日の記事に書くとして、今日はこの日に泊まったホテルについて書こうと思います。
この日泊まったのは近江町市場から徒歩6分のところにある「雨庵」というホテルです。本当に近江町市場から坂を登っていくと、すぐに見えました。上にある写真の通り、表札には雨庵と書かれていて、エントランスも綺麗でオシャレだったのを覚えています。夜遅くにチェックインしたこともあって、ロビーはとても静かでした。日本海側にある金沢はとても雨が多く、日本一雷が落ちる地域とも言われています。幸運にも私たちが訪れた時には雨が降らず、次の日に行った兼六園も十分に楽しめたのですが、金沢には「雨でも楽しめる」スポットが数多くあり、雨庵もその一つです。金沢のお茶やお酒といった伝統を感じることができ、雨の日でもくつろげるような空間が演出されていました。あくまでも雨を肯定的に捉え、土地の気候に合わせて宿が設計されていて、ホームページには雨の日の金沢ですべきことがまとめられていました。部屋が綺麗で広いということは言うまでもなく、無料の蕎麦やドリンクバーといったサービス、そして近江町市場へのアクセスも良好という最高のホテルでした。GOTOトラベルが適用されるということもあってか、紅葉シーズンの今はほぼ予約が埋まりつつありますが、きっと来年も再来年もあの場所で金沢の伝統を宿し続けると思うので、いつか北陸の地を踏むことがあれば、是非一泊してみることをオススメします。